(第4回) 仕事出来る?(国際結婚・外国で就職)
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仕事出来る?
外国人であるというハンデイーキャップのために、就業が困難な場合があるでしょうか(→国際結婚・外国で就職)。
もし、日本で学校教育を受け、縁があってドイツ人と結婚した場合、ドイツで仕事ができるかどうかが、結婚生活の充実を大きく左右します。自分の学校教育課程・就業経験をまずは専門翻訳家により認定翻訳後、それを各種企業にドイツ取得資格と同等だと評価してもらう必要が出ます。
しかし、残念ながら正確に評価してくれる一般企業は少なく、ましてやドイツにない職種を専門学校や大学で学んだ場合など、確実に日本より低評価をうけ、思うような仕事に就けずイラつくことがあります。低賃金に涙を呑んで受理して就業、なんてことも。日本語で学んだ一般知識や経験を、ドイツで活用するチャンスは激減します。
それに、活用するためにはドイツ語が必須で、知識や技術をトランスポートするドイツ語力がなければ、日本人であることのメリットが見えず、資格が無いも同然に受け取られます。もちろんドイツ国内には日本人が多住する街が数々あり、その地域に在住している場合は、日本人相手に仕事を見つけられることもあるでしょうが、そうでない場合は、ドイツ人と同等のラインに立って職業を学び、または大学で修学する事に。ドイツでの生活や文化背景を知らない日本人にとって、ハードルは思い切り高くなります。
この現実的な問題と戦うよりもっとシビアな課題があります。それは自分との葛藤。
自分が国際結婚したばかりに就職できず、「日本にいたら、自分はきっともっといいところに就職できたはず」、と焦燥したり落胆したりすることは誰にもあるでしょう。日本にいたら高収入が得られたはず、と。でも実際本当でしょうか?隣の芝は青く見える、ではないですが、人はないものをねだる傾向にあります。現実からの逃避とも言えます。
仕事があるかないか、それは滞在許可(詳しくは外務省Hp参照)とも関係してきます。職業学校に通うか、大学へ行くか、就職しているかで、許可年数も大幅に差があります。国際結婚を夢見る方の中には、とにかくドイツへ行けば何とかなると思っている方も多いものです。日本でのキャリアが高ければ高い人ほど、現実とのギャップや就活で何度も諾否をうけると、無駄に何年も浪費し「キャリアアップができないのはドイツに住んでいるからだ」、と悲観的になりうつ的な気持ちにもなりかねません。でもがっかりしないでください。ドイツの長所は、何度でもやり直しがきくところです。留年などあまり気にせず、職業によっては、中年者でも職業学校に通わせてくれます。要は本人のやる気にかかっているわけですね。
発想の転換がここでは肝心です。今までの学歴延長線上の類似職種に勤務できればベストですが、そうでなかった場合、「とりあえず」今の自分の手が届く職種にチャレンジし、跳び箱の踏み台と思ってまずは前進しましょう。人間は必ず進歩し、成長します。時にはその至難自身が大きなチャンスと代わることもあります。一見ちょっと手が届かなそうな気がしても、アタックしてみると、その就学中にドイツ語特に専門用語を否応にでも習得し、ドイツ語が上達します。そしてそれによってチャンスも広がっていくかもしれません。
何事にも、達成するには時間がかかりますし、寄り道もあります。時には『急がば回れ』ではないですが、迂回道を使う方が早かったりすることもあります。通常10年ぐらい滞在すると、右左に慣れて来ます。この不自由が、国際結婚をしなければ感じなかった新しい体験・自分を知るいい機会だと思えたらもうこっちのもの。子供の時に培ったクリエイテイブな能力を最大に生かし、まずは自分が誰なのか知り、今の自分に出来ることをひとつづつクリアして生きましょう。焦ることはありません。そんな時に、自分のパートナーがどれくらい理解を示し、共感してくれ、援助姿勢があるかに大きな鍵があります。
Zweckentfremdungという言葉があります。機能転用という意味で、本来の活用目的から、周囲のニーズに合わせて機能を転換し、活用することで、そのどうかすると衰退しかけたものが、活用方法を見出され、有効利用される、という意味で本来使われます。時にはネガテイブな意味でつかわれる言葉、私は日本で生まれ育った、外国在留日本人にもこの発想の転換が重要ではないかと思います。本来日本で勉強したり勤務してきた職業で、外国でも同等に仕事出来ればこれに越したことはありませんが、上記のとおり往往にしてそれが難しいことがあります。じゃあ、自分の能力、感性、自分の長所短所、そして今の自分の状況を正面から見つめ、自分のZweckentfremdungを試みてはどうでしょう?これを機会に、自分の心から好きなことは何か、自分をみつめ直してみませんか?自分の能力にさらに磨きをかけてみませんか?色々な諸機関に相談し、パートナーとよく話し合うことで、打開策を見つけてみてください。あなたにしかできない、素晴らしい仕事がきっと見つかりますよ!
執筆:フィッシャー平松さん(「竹の会」理事・日本とドイツの看護師、デュッセルドルフ)
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